おしゃべりサロン くらら舎


生きているということは学ぶこと
by kuraramichiko
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父の慟哭

 昭和22年1月11日 土曜日

その日は穏やかな日和の昼下がりでした。


肺結核で衰弱著しい兄が、

「外の景色を眺めたい」と 父にお願いしていました。

「よしよし」と 父は縁側のガラス戸や 納戸の障子も開け、

自ら起き上がることもできなくなった兄を抱えて起こし、

正座させました。


暫くして「ありがとうお父さん。閉めてください」

「よしよし 風邪をひいては いけんからのう」と、

父は急いで南北の戸障子を閉め始めました。


 みちこは 年中軒下に置いている一畳台に腰掛けて、

その様子を耳にし「兄は未だ元気だ」と 安堵していました。


突然


「みつてる―う―!」と父の異様な叫び声に

みちこはハッと驚く と同時に、兄の臨終を察知し

冬枯れの田んぼの中を一目散に走り、

近くに住む父の従兄弟の伝吉小父さんの家へ飛び込み、


「あーちゃんが死んだ」と 伝えました。


兄は 肺結核でした 享年22歳

当時は パスもマイシンも無い時代で、

多くの人が命を落としていました。



昭和45年4月21日 父は67歳で旅立ちました。

声あげて泣き叫ぶ父の声を聞いたのは、 

後にも先にも 兄の臨終のときだけでした。
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by kuraramichiko | 2014-01-10 19:14 | 子供の頃
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